:ある男性の、ある女の子分析―――学年トップ、人気者ライト編(第二章時)












友達。


彼女は迷いもなく冗談でもなく、僕のことをそう呼んでくれたんだ。











同じクラスの奴らよりも、

クラスの違う彼女と一緒にいる方が楽しいと思うようになったのはいつからだったか。



日当たりのいい屋上で弁当を食べたり、休み時間にチェスをしたり。

休日に映画に行ったり、新しく見つけたという喫茶店に付き合わされたり。




一緒に本屋に行って互いに気になる新刊を買い、後日に本の交換をすることも、

彼女の好きなクラシック音楽のCDを借りて、僕の好きな洋楽アーティストのCDを貸すことも、




それらはちっとも珍しくない、当たり前のことになっていたんだ。







僕にとって、彼女は同じものを同じ高さで見てくれる、とても稀有な存在。

彼女との会話は気まずい沈黙をもって止まってしまうことなんてなくて、楽しいんだ。




・・・・・・それだけなんだ。

密かに周りで噂されてるように、付き合ってるとかそんなんじゃない。







たしかに、可愛い子だなとふと思う時はある。


何となく染めた僕の髪とは全く違う自然なブラウンの髪に、髪と同色の明るい瞳。

目鼻立ちがすっきりと整った顔が構成する表情は、

感情に合わせてくるくると目まぐるしく変わっていくのがとても面白いし。








だけど・・・、それ以上の思いなんて、僕は抱いてない。







それなのに、同じクラスの女たちは、彼女を目の仇にしていろいろな嫌がらせを始めた。


しばらくして、彼女は僕に連絡をくれなくなり、廊下ですれ違っても声もかけてくれなくなった。






・・・・・・嫌われたなと思った。




でも、それはイジメグループの反感を買わないように

僕と距離を置いただけなんだと知って、胸を撫で下ろした。



その日、彼女への嫌がらせは解決した。

僕は、彼女を庇って頭からかぶった冷水のおかげで、ひどい熱を出して寝込んだけどね。





やっと、学校で逢えた彼女は・・・・・・、ひどく哀しそうな顔でピアノを弾いていた。




・・・僕が寝込んでる間に、何があったんだろう?



そう思って話しかけたら、いつものように笑ってくれて。

でも、僕がリクエストしたピアノ曲を弾き始めたら、また表情が曇ってきて。






・・・・・・とうとうピアノが止まってしまった。

泣くのを必死で堪えて、彼女は僕の前から走り去った。



・・・・・・・・・、泣いた顔なんて、初めて見た。





何か・・・辛いことでもあったんだろうか。

僕で何か力になれることはないだろうか。










しかし、翌日以降の彼女は何事もなかったようにまた笑っていた。


・・・何があったかは話してくれなかったけど、元気ならそれでいい。





彼女の好きな美術館での展覧会に一緒に行き、隣で笑う彼女を見て思った。






男と女を意識するような関係、きっと彼女はわずらわしく思うだろう。


僕はこのままで、構わない。



・・・・・・変わらずに、側で笑っていてくれるなら。