※パラレルです。
デスノキャラでRPGです。
フザけた内容でも笑って許せる方、どうぞ・・・。




















彼らは混沌とした世界につかわされた。


剣を手に取り、神秘の魔法を抱く、神に愛された戦士たち。











さぁ、世界を救う旅へ!



(タイトルミュージックON)





――Lの伝説――






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03:ゲーム


























勇者:エル

レベル25
必殺技 スイーツブラックホール(阻止することは不可能な究極技)



剣士:

レベル24
必殺技 乙女の泣き落とし(効果があるのは初エンカウントのみ。同じ敵に2回目以降は成功率激減)



白魔導士(召喚士):二ア

レベル21
必殺技 毒舌ラッシュ(ブラックモード発動は1日1回)



黒魔導士:メロ

レベル21
必殺技 秒速ツッコミ(素早さで勝るものはない先手技)






















暗く鬱蒼と生い茂る森の中。




悪によって荒れたこの世界を救える最後の切り札として人々の期待を一新に受ける高潔なる勇者と、

その勇敢な仲間たちはただ黙々と森の中を歩んでいた。


陽の光も満足に差さず、太陽の位置で時間を確認することもできない。

進む先は果てしない闇が広がり、その暗がりに潜んでいるだろう邪悪なる魔物の気配を僅かながら感じられる。



そのような闇にも、彼らは恐れることなく歩み向かっていた。








「・・・・・・ってかさー、日暮れには次の街に着くはずだったよなー?

森に入ったのが朝で、もうとっくに陽が落ちる頃だけどなー?」




最後尾を務める黒紗のローブの少年が古びた杖を肩に乗せ、先を行く仲間へ向かって口を尖らせた。


ぼやいた少年の声に振り返ったのは見事な細工の片手剣を腰にさし、簡素な鎧をまとった少女。

その小柄な体型に似つかわしくない出で立ちだが、気の強そうな顔立ちも相まって彼女を勇敢に見せている。




「そうだっけー?着かないねーおかしいねー?」


「お前が言ったんだろうがお前が!!

やっぱお前に地図持たせたのが間違いだったのか!!」


「やーん、メロりん怖ーーい、きゃあ来ないでーーー!」


「誰がメロりんだ!ふざけんなよお前!」




きゃーきゃー悲鳴をあげつつ、面白そうに逃げまわる剣士の少女を少年は追い回す。


暗い森の中にはいっそ不似合いな明るい光景。




「メロ、やめなさい。無駄な体力は消耗しないことです。

もメロをからかうのは大概にしてください」




間に割って入り二人を諌めた彼こそ、勇者エル。

薄暗い中でも蒼く輝く銀の鎧を長身にまとった漆黒の髪の青年。

世界一の大国、ワイミー国の王家出身の由緒正しい家柄の勇者である。


そして彼のたった一人の兄は、かつて闇に堕ちようとした世界を救い、

今ではワイミー国の国王として君臨する伝説の勇者。

伝説は今なお吟遊詩人たちの歌物語に語り継がれ、世界中でかの人物を知らぬものはない。




敬愛する兄王から勇者の名を継いだこのエルもまた、国民から慕われる高潔なる人柄と剣の腕前を持っていた。













ばさぁっ




何かが翻り、小さな風が通り抜ける。




ふと彼らの頭上に大きな影が落ちた。

うっすらと黒い霧のように影を形成したそれはだんだんと実態を形づくっていく。



やがて彼らのもとへ悠然と舞い降りたのは濡れたように光る漆黒の翼を広げる巨大な鳥獣。




「・・・・・・お帰りなさい、ミストラル。どうでしたか?」




穏やかな声音で語りかけたのは、この魔鳥の召喚主。



主は真白い絹のローブをまとう、プラチナブロンドの少年だった。

聖なる輝きを放つ白銀でつくられたロッドを手に、

少年と同じくらいの背丈はある魔鳥の風切羽あたりをさすってやっている。




「マルちゃんお帰りーー!今日もおいしそうな・・・違う、きれいな毛並みだねーー」




剣士のこの言葉に、魔鳥は軽く身をよじり主にぴたりと寄り添った。




「・・・・・・私の使い魔を驚かせないでくれますか?」


「冗談だってばもう。マルちゃんも二アもユーモアないんだからー」




けらけらと笑うが、魔鳥は未だ警戒心を解かない。

ニアと呼ばれた白いローブの少年は軽く魔鳥の背を撫でてやり、ふぅっと溜め息をつく。




「それにマルちゃんじゃないです。

ミストラル・フォールナ・ユーディレイ・アレクサンドロスだって何度言わせるんですか。

これでも魔界では高位に座する魔鳥なんですよ?」


「だって呼びにくいじゃん、そんな長ったらしい名前!

いや、呼びにくいってか覚えられない!!」


「だけど本名にカスリもしてねぇじゃねぇか、何だよマルちゃんって。

どこをどう読んだらそんな呼び名になるんだ?」


「いいじゃん、顔がこんなに丸っこいんだもん。絶対マルちゃんの方がいいって。

黒いからクロちゃんって言わないだけ、私のセンスってホント素ん晴らしいよね!」


どっちも大して変わんねぇだろ!


「それにしても、二アってやっぱりすごいよねー、

白魔導士なのに魔界生物召喚しちゃうなんてー」




高位の魔界生物を前にしても、メロやニアに指摘されても全く意にも介せずあっけらかんとはそう言った。

メロはつまらなさそうにそっぽを向くが、ニアは当たり前のように表情を崩さない。




「ミストラルとは相性がよかっただけですよ。

・・・・・・ありがとう、ミストラル。ゆっくり休んでください」




通常、魔界と心を通わす召喚術は同じく魔力を使う黒魔導士が秀でているはずだが、

彼、ニアは霊力を持つ白魔導士でありながらその非凡な能力で魔界生物の召喚を可能としている。

召喚術を使いこなせるようになってまだ日は浅いため、

ニアに忠誠を誓う魔界生物はミストラルをはじめ数体のみだが、それでもパーティ戦力の一部を担っていた。



彼がロッドを一振りすると魔鳥ミストラルは軽く高い声で鳴き、現れた時と同じく霧となって空気中にかき失せる。

零れ落ちた黒い羽根も数秒遅れて気体となり、暗い森の空へと消えていった。




「どうでしたか、二ア?偵察は」




勇者エルに問われ、ニアは軽く肩をすくませた。




「ミストラルによると、とりあえず方向は間違ってないそうです。

このまま真っ直ぐ進めば都市アークレッドへ続く街道に抜けます」


「ほら、間違ってなかったじゃんメロ!」


「うるせーなー」


「・・・・・・それなら、今日はこのあたりで野宿にしましょう。

幸い魔物の気配も思っていたほどではないようですし」


「エルに賛成ーーーー!」




ぴしっと片手を挙げ、は高い声をあげる。

年の頃はもう20にもなろうかというのに、この無邪気な振る舞い。

だがこれでも元は女性ながらワイミー国王家の近衛隊に属していたというから、不思議なものだ。




いつものこととはいえ、メロとニアはのん気な剣士に軽く溜め息をついた。





























数分後。





「それでは恒例の・・・・・・・、」


「夕食当番」





野宿する場所に竈を作り、その小さな暖を囲んで彼らは互いに顔を見合わせた。


勝負は一回だ。







「ジャンケンポンッッ」






「っだーーーーー、また俺かよ!?何でだ!?」


「あはははー、これで14日間連続当番ーーー!」




頭を抱えたメロに向かってエプロンを投げつけ、は大声で笑い始めた。

やけくそにエプロンをぐしゃぐしゃに丸めて放り投げ、しぶしぶと竈の前に座り込んで今日の夕食を準備し始める。




「ちっくしょ・・・、今日の夕飯にはの嫌いなキクラゲ入れてやる・・・・・・!

ニアの嫌いなチョコレートも入れてやる・・・・・・!





とニアには聞かれないように呟かれたメロの言葉。

一方。



「必ず初めにグーを出すって本当に何で気づかないんでしょうねぇ・・・・・・・」


「ホントにねー、ねぇ、どこまで記録更新するか見ものじゃないー?

覚えはいいから料理上達しまくってるし、楽しみだなぁ」



メロには聞かれないように交わされたとニアの言葉。


・・・ふと、はきょろきょろと辺りを見渡した。




「あれ・・・・・・エルはどこ行っちゃったのかな?

今さっきまでそこにいたよね?むー、夕食ジャンケンサボったなー」


「・・・・・・そういえばいませんね?」




つられてニアも辺りを見渡す。

だが、あの黒髪の勇者の姿はどこにもない。




「あーーーもう、困った勇者さまだよねーー・・・

私、探してくる!夕飯お願いねーーー!」


「あ!おい!どこ行くんだよ!」


「我らが勇者さまを迎えにー!」




とりあえず愛用の剣を片手にしてメロにそう言い残し、はあっという間に森の奥へ消えてしまう。



・・・・・・・・・その時、ふとその場の空気を震わせたもの。



彼女の後姿を見届け・・・、メロとニアは顔を見合わせた。




「・・・・・・は気づいてたか?」


「たぶん気づいてないでしょうね、まぁ別にいいんですが」




メロは杖を、ニアはロッドを、それぞれ黙って手にして立ち上がった。




「・・・・・・いいかげんに出てきたらどうですか?あなたの狙いは私たちでしょう?」


「あれ、バレてた?すっごーい」




沈黙を破ったのはニア。

その気配の方・・・、やや離れた木の上へ声をかけると、そこから鈴のように軽やかで無邪気な声が降ってきた。



続いて木の上からふわりと舞い降りてきたのはメロのように黒いローブをまとった少女。

長い金髪をサイドに分け、高く結んでいる。

ローブの裾は短く切られ、彼女の細く白い足がまぶしく伸びていた。




「初めまして!えーーっと、白魔導士ニアに黒魔導士メロ。

勇者エルにつく、ワイミー国1、2を争う最強の魔導士さん?」




杖を手にし、大きくウィンクを投げかけて微笑んだ。

普通の男ならばこの愛らしい少女の仕草に目を奪われるだろう。



だが、ニアは目を軽く眉根を寄せてゆっくり口を開いた。




「・・・・・・魔女ミサミサですね」


「うわぁ嬉しいー、ミサミサ有名なの!?」




ミサミサと呼ばれた少女は手を胸の前に組んで目を輝かせる。

その名を聞いてメロは思いきり口許を歪ませた。




その名前は有名だ。




「げ・・・・・・、こいつがあのミサミサか・・・」


「あれ?あなたも知ってるの?」


「死神を2人も従えた魔性の女として、私たちの魔法学校時代から有名でしたよ。

あなたの居たヨシダ魔法教室の強引で危険な術の数々も」


「あはっ、そっかー、今の魔法学校でちゃんと私のこと教えてるんだぁ。

ミサミサもとうとう大魔女の仲間入りねー」




髪をなびかせて笑うミサミサに、ニアは冷たい目を向ける。

ロッドをぎり、と握りしめると彼の周りの空気がざわめく。




「魔導士の誇りも忘れあの魔王につき・・・・・・地に堕ちた魔女ですがね」


「なるほどな・・・、

お前が魔王キラに仕え、そして死神を召喚する魔女ミサミサか。相手に不足はないな!」




ニアに続いてメロも杖を振り上げ、呪文をすぐに詠唱できるようにかまえた。


だが少年たちの闘気を真っ向から受けてもミサミサは余裕の微笑みを崩さない。




「いいわよ、望むところだわ!ワイミー国の魔導士たち!」




幼さをとどめた顔に不敵な笑みを浮かべたミサミサ。



彼女の周りの地表から風が吹き上がり、彼女の髪とローブをはためかせる

魔力が十分に駆け巡ったところで手にした杖を高く掲げ、真っ赤に縁取られた唇を開いた。




「レムー!ジェラスーー!ついでにリンゴあげちゃうからリュークーーー!」




辺りに響き渡る高い声。

その声に応じるように風がだんだん強くなってくる。




「・・・・・・・おい、あれが召喚呪文かよ?何かふざけてねぇ?」




杖を手にしたままメロはそうこぼした。



だが、やがてミサミサの側の空間を捻じ曲げるようにして現れたのは・・・・・・死神。

翼を広げた白い死神と黒い死神、そして継接ぎだらけの小さな死神の三体。



三体ともこの世のものとは思えぬ異形の姿。




『呼んだか、ミサミサ?』


『リンゴくれるってマジかよ、ミサミサ!』


「みんな来てくれてありがとう!うふ、ミサミサのお願い、あの子達やっつけちゃってv」


『う、うん・・・ミサミサのためなら何だってするよ・・・』




死神たちは召喚主であるミサミサから視線を外し・・・・・・敵であるメロとニアを確認する。

魂を刈り取る鎌を振り上げ、二人の少年にじりじりと近づいていく。



メロ、ニアは異形の生物を前にしても恐れずにその動向をじっと見据えている。




「それじゃ三人とも頑張ってーーー!

さぁ、私は愛するキラ様をお助けに行かなくっちゃ!

あの勇者を始末したらキラ様喜んでくれるかしら!」




死神、メロとニアの緊迫した雰囲気を壊すような明るい声。

そしてまるでスキップでもするようにミサミサは軽やかな足取りで森の奥を目指す。


そっちは先ほどがエルを探して消えた方向。




「おい!!てめ、この魔女が!!召喚するだけしておいて一人だけ行くんじゃねーーーーっっ!!」


「メロ、叫んでないで詠唱してください!来ます!」


「あーーーもう、わぁってるよ!!しっかり援護しやがれニア!!」







二人の口から異なる呪文の詠唱が流れ、杖から炎が、ロッドから光が溢れ出した。


























ふざけすぎですね、はい・・・・・・(汗) すみません、長すぎるので一旦切ります。
後編も急いで出します!
魔王の御成りでございます!