その頃、勇者エルはパーティのキャンプからやや離れたところまで一人でやってきていた。



・・・・・・・・その邪悪な気配を感じ、たった一人で。



枯れ枝を踏みしめる音だけがいやに耳に響く静寂の中。

黒髪の勇者は、独りの不安も恐怖も抱かずにただ黙々と歩き続け・・・・・・、すっと歩みを止めた。




「・・・・・・・・・まさか、こんな森の中で遭遇するとは思いませんでしたよ。

こんなところで何してるんですか、魔王キラ」




凛とした口調で、目の前の闇に向かって声を投げかけた。

・・・程なくして闇の中から浮かび上がるように現れたのは鋭い眼光が畏怖をもたらすもの。

漆黒のマントを羽織った、息を呑むほどに美しい青年。

その美しさは悪魔と契約したもののみが持ち得ると云われるもの。


魔王キラ。

世界中がその存在を恐れる悪の権化。




「ふっ・・・、お前一人で現れるとは都合がいいな、勇者エル。

承知のとおりだ。彼女を今こそ我が妻に迎えるため、お前達を消しに来た」




魔王はその整った美しい顔に歪んだ笑みを浮かべた。

静かに流れゆく言葉は木々の枝を不気味に揺らしているような感覚さえ覚える。




彼女・・・・・・、のことだ。




エルは魔王から目を離さず、仲間である彼女の言葉を思い出していた。

魔王キラと自分はかつて同じ村に生まれ育った幼なじみだと・・・、たしかは言っていた。




―――昔は憎まれ口を叩きつつも仲良くやっていたのに、ある日、親友は闇に染まってしまった―――


―――・・・、あいつは一緒に新世界を作ろうって私に言った。だけど、あんなやり方間違ってる・・・!―――


―――私、魔王になったあいつを・・・絶対に許さない・・・!!―――




あの明るいが目を伏せ剣を握りしめてこう言ったのだ。

だから、自分も魔王討伐の旅に連れて行ってほしいと。

もう元の親友に戻れないなら、自分は迷わず彼に剣を向けると。



あの時の彼女の真剣な表情に嘘偽りはない。


だから、王家の近衛隊に属していた彼女を引き抜き、今日まで共に旅してきたのだ。





「・・・・・・・・・」





エルは黙って剣を抜いた。

こんなところで遭遇したのは予定外だが、魔王の思惑通りにさせるわけにはいかない。




「やるつもりか。さすが、ワイミーの伝説の勇者の名を継いだ血縁者。

その勇気も、あながち無謀なものでもないというわけか」




魔王は瞳に邪悪な光を浮かべて笑い、羽織ったマントを翻して大剣を抜き放った。



血の跡が残る古めかしい大剣と、聖なる輝きを放つ銀の長剣。

切っ先ごしに二人の視線が交錯し・・・・・・、同時に斬りかかろうとしたその時。






「エーーールーーーー!どこーーーー!?」






そう離れてない場所から聞こえてきた彼女の声。

聞き違いなどあるわけがない、特徴ある高く涼やかな声。

エルはぴくりと眉をひそめ、魔王キラは口元を綻ばせ目を細めて笑った。




「おや、彼女自らの御出ましか。

まぁよい、歓迎しよう」




魔王が剣を下ろしたところですぐ側の茂みを掻き分けて飛び出してきたのは剣士




「あーーー!エル見つけた!もうすぐ夕飯なのに・・・って、げっ!?」




体中に森の葉をくっつけたままの姿で、はそのまま硬直した。

エルと対峙しているそのものの姿を確認して。




「・・・・・・やっと逢えたな、




魔王は静かに笑み、ひどく穏やかな低い声でそう告げた。




この魔王に人間というものの定義があてはまれば、

その笑みは、愛しく想う者への慈愛に満ちた眼差しともとれるものだった。


その視線の先に居る気の強い女剣士は大きな目を見開いて驚いていたが・・・、ゆっくりと表情を厳しいものに変える。

剣に手をかけ、エルの隣につく。





・・・・・・倒すべき敵が目の前にいるのだから。





「・・・・・・・この旅の果てにいつかは対峙するって、そう決めて旅してきた、けど・・・・・・」




唇を噛んで、その瞳に激しい光を宿し・・・・・・、剣士は手にした長剣を鞘から抜き放った。




ぶっちゃけて言うと、やっぱり逢いたくなかった!

っていうか見たくなかった!!この変 態 ! !





きんっと響く高い声が辺りに響き渡る。




「・・・・・・・・・は?」




しばしの沈黙の後、魔王とエルは揃って疑問の言葉を口にする。



・・・・・・・・・・変態?




「あーあー、相っっ変わらず破滅的なスタイルでさーーー!

ったく、あんたさー、昔っから頭はいいくせに何か趣味悪かったけど、

魔王になってさらにキモくなったよねもう超信じらんない!!」




しかしそんな二人の思いも露知らず、はよく響く高い声と見事な早口で喚き散らす。

右手にした剣を魔王に向け、左手は強く握りしめて言葉に任せて大きく振りながら。




「何ですってーーーーーーー!?」




が次の言葉を口にしようと大きく息を吸ったとき、彼女に負けずとも劣らない高い声。

彼女と同じ場所から茂みを掻き分けて飛び出してきたのは金髪に闇色のローブをまとった少女。




魔女ミサミサだ。



ミサミサはあどけなさが抜けない顔を怒りで真っ赤にして歪ませ、

飛び出してきた勢いを殺さずにそのままへと詰め寄った。




「さっきの言葉!!ちょっとあなた!!私のキラ様に向かってキモいですって!?

もう一回言ってみなさいよ!!」


「ああ何度でも言ってやるわよ、魔王キラはキモいキモーーーい!!

あんな奴に世界を渡すわけにいくもんですかーーー!!」


「言ったわねーーーーーーっっ!!キラ様を侮辱する奴はミサミサ絶対に許せないっっ!!

殺してやる!!」


「やれるもんならやってみなさいよ、この変態の同類女!!!」




いきなり現れた魔女ミサミサに驚くことなく、は彼女に負けじと大声を張り上げた。



何の前触れもなくいきなり始まった女二人の怒鳴り合いに、

魔王キラと勇者エルは一言も発することなく呆然としている。




「きーーーーーーっっもう許せない!!やれるならやってみろ!?お望みなら殺してあげるわよ!!」



ミサミサは杖を振り上げ呪文の詠唱を始めるが、は臆することなく剣を構えて斬りかかろうと地面を蹴る。


その時。




「我の名において命ずる、来たれ蒼炎の雷よ!!」




ッドォォォンッッ




「わっっ!!」「きゃああぁっっ!!」



一瞬にして蒼い閃光が走り、二人を掠めるほどすぐ側に雷が堕ちた。


雷を呼び出したのは魔王キラ。


魔王の漆黒のマントが魔力の風圧を受けて大きくはためく。

その高々と上げた腕をゆっくりと下ろし、魔王はミサミサへ切れ長の視線を寄こした。




「いいかげんにしないか、ミサミサ・・・・・・、勝手な真似は許さぬと何度言わせるつもりだ」




背筋が凍るような低く冷たい声。

その冷酷な声には眉を寄せて軽く唇を噛んだが、ミサミサは真っ青になってその身を縮ませた。




「す・・・すみません、キラ様・・・・・・、

ミサミサは、キラ様のご命令にこそ従います・・・・・・!」


「わかったなら黙って下がれ。私のすることに手出しをすれば、今度こそ命はないぞ」




ミサミサはすくんだ足を何とか動かし、魔王の後ろに下がった。




「ったく、相変わらず危ない真似してくれるよね・・・!!」




剣をぐっと握りなおし、は舌打ちしながら吐き捨てた。


明らかに敵意と嫌悪感をむき出しにしたを前にしても、

魔王はミサミサへ向けるものとは違う眼差しをたたえてみせている。


ゆっくりと手を差し伸べ、場違いなほど穏やかな口調で魔王キラは口を開いた。




「・・・・・・何度でも言おう、

さぁ、今度こそ私と共に、」


「いーーーーーーーーやっっっ」




だが魔王の言葉は、畏れを全く知らないようなの暴言によってかき消される。




「最後まで言ってないだろう!!」


「453回も聞かされてたまるもんですか!!」




の言葉がやや癇に障ったらしく声を荒げた魔王だが、彼女も負けずに声を張り上げた。




「・・・・・・数えてたんですか?」




先ほどからずっと、一連の出来事の蚊帳の外におかれていたエルがようやく口を開く。

だが、その言葉も魔王やの耳には届いてはいない。



以下、ボス戦に相応しい壮絶なマシンガントークが始まったのだから。





昔から聞きたかった。お前は私のどこがいけないと言うのだ!?

顔もいい、頭もいい、文句のないカリスマだろう!?



そのいちいちポーズとりながら真顔で質問すんのやめてくれる!?

何よあんた、その黒いずるずるマントの下のその姿!!

今時、○ルビス・プレ○リーばりのひっらひらソーメン袖と

紫のシルクパンタロン
なキモい奴が生息してるのがおかしいのよ!!

時代考証もファッションセンスもはっきり言って間違ってる!



「・・・あの、」


こ、この私が作る新世界の最新モードを愚弄するか!?


そんな破綻したファッションが横行する世界なんて、私は絶っっっ対に認めないわよ!

この命に代えても断固阻止するんだから!



「・・・・・・・・・・・・あの、?」


ったく、どこをどーしたらそういう破滅的に絶望的なセンスが生まれ出でるのかさっぱわかんないっっっ!!


だ、黙って聞いていれば、!!

よく聞け、いずれ私が作る新世界では、神となるこの私のファッションこそが、



冗っっ談じゃないわよ!!あんた、どこまでイタすぎるバカなの!?

あああもう、私、あんたと幼なじみだってこと、人生最っ大の汚点だわ!!



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの、聞いてますか、?」


エル!!さっきから平然としてるけど、こいつのこの格好見て何とも思わないわけ!!?




音量的にも内容的にもつけ入る隙さえ与えないと魔王の会話。

何か言いたげに言葉を挟んでいたエルの声は全く届いてなかったが、ようやく、会話に混ぜてもらえるらしい。



いきなりに怒鳴られるようにして会話を振られたエルはさほど驚きもせず、もう一度魔王の出で立ちを見やった。

漆黒のマントの下は白いフリルとひらひらに袖のついたシャツ、てらてらとした光沢を放つ紫色のシルクパンタロン。

先ほど、自分が最初に対峙していたときはそんなに気にもならなかったが、

は魔王の服装に関してここまで騒ぎ立てている。




そして・・・・・・・・・、




「・・・・・・少々、奇抜だとは思いますけど」


少々ってもんじゃないでしょうがぁぁっっ!!




エルが表情も変えず至って真面目に素直な感想を口にすると、は頭を抱えて雄叫びを上げた。




「っっもう、故郷のお父さんもお母さんもサユちゃんもあんたの奇行のショックで何年も寝込んでるわよ!

魔王キラ!!あんた知らないでしょ!この親不孝者!!」


・・・・・・もう、その辺でいいでしょう」




エルは、飽きもせずに怒鳴り続けるの肩にそっと手を置いて、軽く叩いてやった。


戦う前から腹の底から怒鳴り続けたは肩で息を切らせている。

剣だけはしっかりと握りしめているものの、足下がおぼつかない。


そんなある意味満身創痍の彼女を後ろに庇いながら、エルは真っ直ぐと魔王キラを見据えて剣を構えた。




「魔王キラ。私の個人的な感情も入り混じってますが、

あなたなどに彼女を連れて行かせるわけにはいきません。

ここで決着をつけ、平和な世を手にし、仲間と共に私は帰ります」




先ほどのと魔王の会話に比べると音量は随分と小さいが、それでもよく通る声。

黙ったままの魔王の涼やかな目元にぎらりと光が疾しる。




「そうか・・・それなら、力ずくで連れて行くまで」


「この戯け者めが!!この剣のサビにしてくれるわ、そこへなおれ悪党!!」




せっかくエルが後ろに庇っていたが噛み付くようにして飛び出した。




「・・・・・・・・・のセリフも時代考証おかしいですよ」


「メロみたいに突っ込まなくていいの、エル!

人生最大の汚点はこの手でキレイに浄化してやる!!

どりゃあああーーーーーーっっ!!」





ガキィィィンッ!!





「っく・・・ぅ・・・・・・っ!!」


「なるほど、お前の力はやはりこの程度か。

昔から何一つ変わらないな」


「・・・ん、ですって・・・ぇっ・・・!?」




自身の体重もかけた力で斬りかかるが、の剣はいともたやすく魔王の大剣によって止められた。


それどころか彼女が剣を引いて離れようとしても魔王が強く剣を押さえつけてくるのでそれもかなわない。

腕力の差で、剣を重ねたままの膝が地面についたその時。




「!!」




キィィンッッ!!





魔王は素早くの剣を弾き、死角から斬りかかってきた刃をすんでのところで受け止めた。

銀の剣の放つ光がその端整な横顔を照らし出す・・・勇者エル。




「・・・・・・レディとの間に割り込むとは、なかなか無粋な真似だな勇者エル」


「生憎、魔王へ見せる礼儀など持ち合わせていないものですからね」




至近距離で魔王と視線を合わせたエルは事務的にそれだけ口にして、大剣を押し返して素早く身を離した。

少しの隙も与えずに斬りかかるが、その凶刃に怯むような魔王ではない。


身の丈もあろうかという大剣を振り回し、エルの剣を受けて弾き返した。

大剣よりもずっと細身なエルに向かって叩きつけるように剣を振り下ろすが、

そのスピードさえも見切り、エルは地面を蹴って虚空に飛び上がった。




「もう、エル、そこどいて!!そいつは絶対に私が倒すんだから!!」




体勢を立て直したが、斬り合いを始めたエルにそう怒鳴っても、魔王と勇者の攻防が止まる気配はない。


苛立ったように一度だけ髪をかきむしり、魔王に弾かれた剣を拾い、エルに加勢しようとした。



が。





!!」





ばさぁっ




頭上から降って来た声に引かれるように視線を上げた。


そこには、悠然と広がる黒い影。




「マルちゃん!?」




とエルには既知の魔鳥。


が、突然現れたこの世のものではない生物に、魔王は剣を止める。




翼を広げ地面に降り立った魔鳥の背から飛び降りたのは、二人の少年。




「間に合いましたか。

・・・・・・本当に魔王ですね、こんなところで一体何を」


「ったく、二人で無茶してんじゃねーよこの馬鹿」




現れた二人はとエルの無事を確認し・・・、それぞれの武器を取り出して魔王への戦闘体勢をとった。


がキャンプから離れたあと、魔女ミサミサが召喚した死神と戦っていたメロと二アである。






「二ア、メロも!ったく、来るの遅いよバカ!

仲間が死ぬかもしれない戦い展開してたのに今までのん気にご飯作ってたわけ?

うっわ、信じらんない!薄情者!!」


「・・・・・・・・・・・・お前、助けに来てやった第一声がそれか?」




ここまで理不尽な怒りをぶつけられるとかえって怒る気も失せるものである。

メロは無茶苦茶な彼女に疲れきったように盛大な溜め息をつくが、魔王への警戒は忘れない。




「ワイミーの魔導士たち!?え、嘘っ!?私の死神たちは!?」




魔王の後ろに控え、目の前の展開を祈るような目で見つめていたミサミサだが、

突然現れたこの二人に向かって大声を上げた。

そう、先ほど召喚した死神に二人の始末を任せて自分はここに来たのに。


が、ミサミサの動揺も露知らず、二アとメロは平然と口を開いた。




「死神たち、異空間ゲートを開いて消えましたよ」


「さすがに強かったけどさー・・・、

あいつら、下界にいられる時間はたったの5分だったぜ。

使えねー奴らを従えたもんだな、魔女ミサミサ」


「ええーーー!?うそーー、やだミサミサそんなの聞いてないーーー!!

もー、レムたちのバカーーーー!!」




涼しい顔で告げられたその事実に、ミサミサは魔王の不機嫌な視線にも気づかずに声を荒げる。

口を尖らせて不平を漏らすその姿はどこから見ても普通の娘のようで、大魔女には程遠いように感じられる。


さすがの魔王も、現在の状況に先ほどまでの余裕の笑みはない。




「・・・・・・やはり、ここで4人も相手にするには分が悪いか・・・、

仕方ない、今日のところは引こう」


「逃げるんですか?」




エルの挑発にも乗らず、魔王は漆黒のマントを広げて虚空に魔法陣を描く。

声を発することなく視線だけでミサミサを呼び、その陣の前に立った。




「覚えておけ勇者エル、そしてワイミーの魔導士たち。

最後に笑うのは私だ。

お前たちがいくら足掻いたところで、我が野望は止められまい」




まるで歌うように紡がれていく魔王の言葉。

予言にも似たような旋律だが、エル、二ア、メロは三人とも臆した様子は全くない。


やがて、魔王の視線は一点のみに注がれた。




、お前は必ず私の花嫁となる。私の作る新世界の王妃として、必ずな」




それだけ告げ、続いて呪文を口にすると虚空に描かれた魔法陣が光り、魔王とミサミサへ向かって輝きだす。


・・・・・・にとって生理的に受けつけられない魔王のこのセリフに、

彼女は全身鳥肌を立ててぶるぶると身震いしていたが。




やっぱり斬る!!ここでぶった斬って三枚に下ろしてくれるわぁぁぁぁ!!


「落ち着いてください、

わざわざ深追いしなくていいでしょう!」




今まさにその姿を消そうとしている魔王に向かい、再び斬りかかろうとするをエルが羽交い絞めにして止める。


・・・・・・先ほどの魔王とエルとの戦闘に負けずとも劣らない攻防。


そして、一度だけ魔法陣が眩しく光ったかと思うと、魔王とミサミサの姿は魔法陣と共に跡形もなく消えうせた。

残ったのは、魔力の余波である微かな風のみ。




「・・・・・・あの魔王もなんだってこんな煩い女を嫁にしたがるんだよ・・・訳わかんねぇ」


「魔王の嗜好なんて深く考えるだけ無駄だと思いますよ、メロ」




メロと二アの言葉も、残された魔法の気配と共にその場からすぐに消えていった。

















その夜、キャンプにて。






「あーーーもう、お腹空いた!!メロ、早く晩ご飯作ってよねーー!」


「うっせーな!手伝いもしないなら黙って待ってやがれ!!」


「当番はメロですか。

今日の夕飯にはガトーショコラが食べたいのですが」




エルの一言に、メロは口許を引きつらせ思わず手にした青銅製のお玉杓子をギリっと握りしめた。




「エル・・・・・・、買い置きしていたケーキは全部あんたが食べきっただろ・・・・・・、

次の街に着くまでケーキはない!!」




勇者エルの必殺技が先日発動し、

食料以上に常備してあるはずの甘味類はすっかり無くなってしまったばかりなのである。




「困りましたね・・・、ケーキがないと私の戦闘力は40%減なのですが」


あんたみたいにバカ強い奴は40%減くらいでちょうどいいんだよ!


「あ、メロりーん!私ね、今日はお魚が食べたいなーーー!」


こんな森の中に、んなもんあるわきゃねぇだろがーーーーーー!!




森の魔物たちは彼の雄叫びに恐れをなして近づけないのだろうか、

その夜は、モンスターどころか虫一匹さえキャンプに出現しない。




「煩いですよ、メロ。

相変わらず騒々しくてすみません、ミストラル」




暖の前で本を読んでいた二アが声の主に対して溜め息交じりにそう言った。

彼の側には、今日何度も呼び出されたミストラルが翼をおさめてくつろいでいる。




「・・・・・・・・・お魚がダメなら、私、焼き鳥でもいいんだけどなぁ・・・・・・、」




流し目でぼそりと呟かれた言葉に、魔鳥ミストラルは高位に座するものらしくなく微かに声を震わせる。


炎の心地よい暖かさに身を寄せていたミストラルは火から離れ、主の二アに助けを求めるように擦り寄った。




・・・・・・いくら私でもそろそろ怒りますよ?」




やや低くなった二アの声を気にすることなく、は出来上がったスープに先に口をつけた。





「うんっ、今日もみんなお疲れ様でしたーーー!」


















剣を手に取り、神秘の魔法を抱く、神に愛された戦士たち。



平和な世を取り戻すため、彼らの旅はまだ終わらない。







いずれ、彼らの活躍が新たな伝説として語り継がれるその日まで。























新感覚RPG「Lの伝説」


好評発売中!














補足・・・ってか、お詫び?(--;)



かなり遅れました・・・申し訳ないです。
こんなに長くなるなんて思わなかった・・・後編、文章が支離滅裂です、ごめんなさい。
あ、どの辺が新感覚RPGなのかなんて、思っても口に出しちゃ駄目です。


ホントはこの後たどり着く、お貴族様の街をしきるモテモテ領主さまにアイバー、
そんな彼の財産を狙う盗賊にウエディ、
旅の途中で出会う妖精さんに、魔王が捨てた良心として具現化したピュアライト(笑)なんて、
かなり節操なさそうなこと考えてました。
(やらなさそうだけど)続きを書く機会があれば是非そのへんも入れてみたい・・・。
文章中にもあるように、昔に世界を救った元勇者でワイミー国の最強国王にLお兄さんも是非入れなくては!

しかし何てバランス悪そうな危なっかしいパーティ・・・。
こんなゲーム、やだな(笑)
でも発売されたらとりあえず予約購入でポスターをもらいます。


ニアとLの区別をつけられなかったのは不可抗力です。
メロとニアが想像以上に仲良しさんになってしまったのは失敗です、すみません。
メロがいつか胃に穴が開きそうなくらいな苦労性さんなのは愛ゆえにです、ごめんなさい。
魔王を何だかものすごくキモい奴にしたのは・・・・・・何となくです、許して。