数え切れないほどの女を抱いてきた。

色香漂う女も、あどけなさの残る少女も・・・、正直に言えば男もだがそれはまた別の機会に。



彼女のような女性の前例は見当たらない。だが、その中で特筆するような女ではない。

一回りも年の離れた、まだ少女の域を出ないお嬢ちゃんというだけだ。




だが・・・、何か、ふと引かれるものがあったんだ。




そこに何か貴重なものがありそうな気がして離れられない・・・、奇妙な勘にも似ている何かが。














6.『特別』を君だけに

























ウエディがヨーロッパの方で単独の仕事を始めたから、の部屋へは行かないようにしていた。

だが当の彼女は「ヒマだから遊びに来てよ」だなんて、陽気に言ってきた。



・・・本当に無用心の極みのようなお嬢さんだな、全く。

頭はいいのに、こういうことに関してはてんで無知なもんだから心配だぜ。





そんなお嬢さんには、子供らしいものが一番だろう。


そう思って選んだ土産を手に、インターホンを押した。

一声かけると、こちらへ近づいてくる足音、続いてがちゃがちゃと鍵を開ける音。


満面の笑みで飛び出してきた、

丈の短そうなシャツと軽そうなスカート。

短めの服装に、真っ直ぐ下ろしている長めの髪がかかる姿は悪くはない。



元気であどけない彼女らしい出で立ちだ。




「久しぶり!元気だった?」


「ああ、これ」


「うわ、ケーキ?ありがとアイバー!入って、お茶淹れるから」




白い箱を大切そうに抱えて、彼女は笑顔で俺を見上げてきた。

レディに会いに行く時は花束だが、矢張り彼女にはこっちを選んで正解だったな。


























小奇麗にまとめられている彼女の部屋は、割と居心地がいいといつも思っている。


適度に殺風景でもなく、ごてごてと飾りつけられてもいなく。



ソファに腰かけてしばらくもすると、熱いコーヒーを目の前に出してきた。

は俺が掛けているソファの向かいのテーブルに小さなケーキを2つも並べ、

ぺたんとフローリングの床に直に座り込んだ。



「アイバーも食べたい?」なんて言ってきたが、甘いものは好みじゃない。

もともと彼女の好きそうなクリーム系のショートをいくつか選んできたんだからな。




「ウエディはまだ帰ってこないの?」




ストロベリーショートに飾られている苺を真っ先に口に放り込んで、彼女はそう聞いてきた。




「ああ、気難しい女史の小言を聞かなくてすむんで久々にほっとしている」


「あ、そんなこと言ったら知らないぞ〜?」




大きめに切り分けたケーキを口に運ぶ彼女の目は悪戯っぽく輝いている。

だが特に動じることもなく、俺もコーヒーに口をつける。


インスタントでないコーヒーは結構ありがたい。




「彼女に対して今更後ろめたいことなんて、もうこれ一つもないさ」


「・・・・・・どんなことやらかしてきたのよ」


「聞きたいか?

まぁ、の相手なら喜んで引き受けるがな」




いつもの調子でそう言うと、はフォークをくわえたまま眉を寄せた。

まるで下手なコミックのワンシーンのような顔で。




「・・・・・・もう、アイバーっていっつもそれだよね。

そんなことばっかり言ってて楽しい?

・・・っと、もう外は暗いんだね。

窓閉めるね」




そう言って立ち上がり、窓へ向かうためへ俺に背を向ける。

真っ直ぐな髪が歩くたびに揺れるのをぼんやりと見ていた。








彼女は相変わらず、俺の言葉をかわし続けている。





・・・・・・・・・・今までは、そこでお手上げのはずだった。






この日はどうかしていたのかもしれないな。










これといった仕事もなく、退屈だったのかもしれない。






「・・・・・・・・・え?」






音もなく近づき、後ろからを抱きしめてみた。

平均身長の低い日本人。彼女はその平均よりもやや低いくらいだろうか?




「ちょ・・・っ、ア、アイバー?」


「全く、何を言ってもは落ちてくれないな。

こんな変わり者は本当に初めてだ」


「な・・・っ!?は、離してよ、痛いじゃない!」




俺を振りほどこうとするが、そんな力で大の男をどうにかできるわけがない。

身動きがとれないように、二の腕を押さえ込んでるんだから。




「さて、俺が何もしない紳士だとでも思ってたのか?

それとも、こんなに年の離れた自分には興味なんてないだろうとでも?」


「ちょっ・・・ちょっと待ってよ、放して、お願い・・・!」


「ほら、今から疲れることは止めといた方がいいぜ?

いい子だから、大人しくするんだ」


「や・・・っ、な、何して・・・・・・っ」





唇が触れる至近距離の耳元で低く囁いてやると、ぐっと身を固くした。

ついでに真っ赤になってる耳をくわえて舐め上げると、艶っぽい声がついて出た。




いい感度だな。



続いて白い首筋に唇を落とす。

俺の腕の中にすっぽりおさまってしまう程、小柄な彼女を左腕一本で押さえ込んだ。

フリーになった右手で薄いシャツの中に手を這わせた。



こんな滑らかな肌に触れるのは久しぶりだ。




「や、だ・・・っ!触らないで、放して!!」




手に触れた胸は思っていたよりも大きかった。

着やせするタイプか、なるほど。



ふっと口もとに笑みを浮かべ、下着を上にずらしてやり乳房をゆっくりと揉む。




「お願い馬鹿なことしないで!どうして!?」


「だから今のうちから暴れるな。あとがキツいぜ?」


「何言って・・・っあ・・・っ!」





乳房の突起を軽く弄ってやると、息を呑んで声を出すまいと体を固くする。

それをいいことにもう片方の手も胸にあてがい、強く揉んでやると力なく抵抗し続ける。


唯一自由になる頭を振るたびに、唇を噛んで必死で耐えようとしている表情が見え隠れする。



・・・可愛いったらないな、本当に。




「や・・・っ!やめ、・・って・・・!!」


「どうした、?」




俯いてしまって表情は見えない。

俺の腕を取り払おうとかけていた両手にも力が入ってなく、代わりに微かな震えが伝わる。




「嫌だったか?」




・・・・・・我ながらつまらない質問だ。





「・・・そ、つき・・・・・・っ」


「ん?」


「うそ、つき・・・なんっ・・・で、いつも・・・、あっ・・んな・・・!」




嘘つき、か。

職業柄、仕方ないことだろうか。



それなら。








「!?ん、んぅ・・・っふ・・・!」





無理やり正面を向かせて、腕の中におさめる。

ぐいっと顎を持ち上げて喰らいつくように唇を重ねた。

片手で体を押さえ込んで、片手で頭を固定して。


舌をからめとり、口内を堪能する。

ケーキの甘い香りが俺の舌にも移る。

口内の柔らかい肉から歯並びのいい歯列をなぞってやると、溜め息に近い喘ぎが漏れる。




「ん、ん・・・っあ」




空気を求めて口を開こうとするところに、さらに深く舌を差し入れる。

抱きしめる腕にも力をこめて。



ちゅ・・・くちゅ・・・



厭らしく聞こえる音を嫌がるようには首を振ろうとするが、頭を支えられているのでそれもままならない。

上唇を軽く吸い上げて唇を離してやると、顔を真っ赤にして、彼女は俺の胸に額をおとした。

小さな肩で息を切らしながら。



気がつけば、の手は俺のシャツをしっかりと握りしめている。




「何で、よ・・・っ、アイバーの・・・バカ・・・!」


「・・・行動と言葉が一致してないぞ?」




そう言うと、まるで自棄を起こしたように拳で俺の胸を叩いた。

結構な強さに一瞬だけ息が詰まる。




「いって・・・、今の本気か?」


「当たり前でしょ!バカバカ!離してよもう!!」





ああ、全く。


今まで俺が関わってきた女性たちのどのタイプにも当てはまらない。





「きゃ・・・っ」




黙って抱え上げてベッドに放り投げた。

起き上がる前に彼女に覆いかぶさり、手足を押さえる。


さすがにシングルベッドでは狭い、か。

まぁ仕方ない。




「やだ・・・っ!どいてよ、何するの!!」


「そんなに暴れて明日起き上がれなくても知らないぜ?」


「起き上がれなく・・・って・・・!?」


「とりあえず、俺に任せて力抜いてたらまだ楽だと思うがな」





それだけ早口に言ってのけ、一気にシャツを脱がせブラジャーも外して放り投げた。




「ちょっ、ちょっと待ってアイバー駄目!!」




暴れる腕は胸元を隠そうとしているのか、俺を押し返そうとしているのかよくわからない。


覆いかぶさって噛み付くように再び唇を重ねた。


体を押さえ込んで、深く口付ける。




「・・・や、ぁん・・・っ!」




キスしながら強く揉んでいた胸はひどく大きくなっていた。


なおも両手で弄りながら固くなってしまっている突起を摘み上げると、

見たこともないような扇情的な表情を見せる。


舌、歯列、甘い口内はやがて自分の味に染まり、唇を触れたまま名を紡いだ。





・・・」



「や、だ・・・っ、ア、イバー、なんで・・・・・・っやぁっ!!」




スカートの中に手を入れると、激しく身をよじった。

俺を押しのけようと、力なく胸を押し返してくる。


だが・・・、本気で嫌がってはいない。

展開に驚いているだけだと・・・思う。




・・・・・・自惚れに聞こえるな。




下着越しでもわかるほど彼女の其処は切なげに喘いでいた。

間から指を挿れるとそれを待っていたかのような生暖かいものが指に触れた。




「きゃ・・・ぁん・・・っだめ・・・っ」




唇を首筋に這わせ、所々に吸い付くと張り詰めている息が零れる。

押し返していた腕も力なく落ちた。

抵抗しなくなったとわかって、キスを止めて、彼女を見下ろす。



俺と目を合わせないようにして、シャツを強く握りしめている。

顔を赤くして身を縮めている。




「・・・・・・?」


「・・・・・・・・・っ、」


「怖いのか?」


「・・・・・・・・・・バ、カ・・・・・・っ!!」




息切れで掠れた声で猶も強がっている。

だがもう抵抗もしないし、無意識なのかもしれないが俺の服を掴んで離さない。



さて。

・・・・・・これはどう捉えたものだろうか。



何処にでもいそうで、だがなかなか掴み所のない彼女のことは未だよくわからない。


癖のない真っ直ぐな髪を軽く梳いてやり、そっと頬を両手で挟みこんだ。











顔を上げない。



ゆっくりと顔を近づけて、そっと唇を押し当ててみた。

さっきの噛み付くようなものと違い、軽く唇に触れるだけの口づけ。




「・・・ん、ん・・・」




唇は震えているが、特に拒絶の感もない。

右手で優しく体のラインをなぞってやると塞いでいる口から甘い息が漏れる。





・・・・・・都合のいい方へとるか。






「や・・・っあ、ん・・・・・っ」




熱く脈打っている鼓動を感じられるところに唇を落とした。

赤い突起を口に含んで舌で転がし、軽く歯をたててやる間に、

小さなショーツは片手でいとも簡単に落とせてしまった。

それほどの愛撫もしてないつもりだが、

其処に触れると、つぷ・・・っと音をたて、ねっとりとしたものが絡みつく。




「んぁ・・・っ、アイ・・・っバ・・・ァ・・・!」




これだけ濡れているならもういいか。



邪魔になった自身のシャツを脱ぎ捨て、それなりに猛ったモノを取り出して其処にあてがった。

それが何なのか察したは恐怖におびえた表情を浮かべる。




「ちょ・・・っ待っ・・・・!」


「大丈夫。どこにしがみついてもいい、声を出しても構わない」




低く囁いた耳をねぶると感じたのか、びくりと身を震わせたところにゆっくりと挿入した。




「っっっ!!!痛、い・・・っや、だぁ・・・っ!!」




・・・・・・・・・・・・悪い、痛いのは俺もだ。

こんなにきつく締め付けられるなんて本当に久しぶりだ。


想像以上の狭さに舌打ちし、なるべく痛い思いをさせないよういつになく慎重に埋めていく。




「ア、イバー・・・っ、おねが・・・っ、痛い、の・・・・・・や・・・・っ・・・!!」


「あまり体を固くするな。力、抜いてみるんだ、支えててやるから」




シーツを強く握りしめて唇を噛み、必死で身を固くしている

ぐっと背中を抱き起こして、さらに腰を進める。

奥へ奥へと突くたびに狭い内壁を擦る感覚にふと感じそうになるが、それを堪える。


弓なりに体をそらして喘ぐ白い胸に唇を寄せると彼女はさらに高い声をあげた。




「やっ・・・やぁっ・・・・っ・・・・・ア、イバー・・・っ!」








初めてだっただろう行為に、は終始震えていた。

未知の痛みに悲鳴をあげ、そして快楽に嬌声を零す。



俺にとっては、もう愛だの恋だのという概念なんてとうにないものだが。


この時ばかりは初めて見た、無邪気な彼女の艶かしい表情に目を奪われていた。




















本気かと問われると、そうとは言い切れないかもしれない。

だが、今彼女をこのまま手放すには少々惜しい。



だから。

今だけは。



特別を君だけにあげよう。


特別を君だけに感じたい。




もしもいつか俺が君の特別になり、君が俺の特別になる時が来るなら、

この感情にもこの行為にもきっと名がつくだろう。